“アウトロー・ヒロイン”礼賛

 私が俳優を続けていく上での考え方は、変えるつもりも変わることもないと思います。そんなにハードにはできないかもしれないけど、もし、またアウトロー映画のお話が来たら、喜んでやります。まだ、これもできますよ、と言うことです。年齢は関係ないですから。そのための努力は日々しているんです。『大奥』でおばばやって、『鬼平』でおまさに戻るのが俳優の仕事だと思います。面白くて自分が納得できれば、なんでもやりたい。(P.40)

 ロングインタビューに魂萌え!(使いどころが違うか…。未読なので、桐野夏生
 私がこの人にリアルタイムで追い付いたのは『曽根崎心中』(1978)に至ってからだ。つまり、映画女優としての作品の中では、最後期のものだ(もう映画復帰しなければ、だが)。宇崎竜童との共演。壮絶な心中のシーンが、記憶に焼き付いている。なにしろ全盛期の頃は小〜中学生だったので、いまだ観ていない代表作も多い。
 伊藤俊也監督との『女囚さそり』三作品(1972-73)は、名画座の上板東映(もちろん現存してません)でまとめて観た。その、場末感の漂う時間と空間の記憶を、現在のシネコン(で観る、しかもアメリカ娯楽アクション映画のフィルム上)に甦らせた『キル・ビル』のエンドロール、“怨み節”には涙を禁じえなかった。
 『帰らざる日々』(1978)、『もっとしなやかに もっとしたたかに』(1979)あたりの先入観があったためか、藤田敏八監督との諸作は長い間、観逃したままだった。まさに不覚だったが、『キル・ビル』 のおかげで、『修羅雪姫』(1973)、『修羅雪姫 怨み恋歌』(1974)をCSで観ることができ、堪能した。


 『さそり』を観た当時はむしろ監督(演出)の方に思い入れが強かったのだが、その『さそり』三作品をCSで改めて観る機会があり、唯一無二の個性を持った人だと再認識した。まだ出逢っていない傑作は、これからの楽しみとしよう。テレビ放映で観たきりの『無宿』(1974)ほか、再度出逢えるだろう作品も心待ちにしよう。
 斜陽期の邦画(とあえて呼ぶ)の世界に居たゆえ、黄金期の女優さんのように恵まれた活動ができたわけではないのかと思う。しかし、そんな中にあっても名匠に刺激を与え続け、素晴らしく充実したフィルモグラフィーを築いてる。深作欣二監督の傑作群の中でも最良の作品にかかわってるのが、この人だと思います。


Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol.2

Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol.2


 2005年4月20日付の当BLOGで触れた『Hotwax』の2号目が出ました。特集は梶芽衣子!! 巻頭90ページを使った企画とはいえ、7時間に及んだというインタビューは、おそらく枝葉をかなり刈り込んだものなのでしょう(インタビューに割いてるのは17ページ)。それでも、今は亡き名匠たちとのエピソードや、仕事に対するストイックな姿勢など、心に沁みる内容です。
 中でも感銘を受けたのは、増村保造監督との出会いのあたり(P.35)から野村芳太郎監督に手紙を書いて『わるいやつら』(1980)出演を果たしたあたり(P.38)の、自己の見詰め方。70年代の邦画のファンなら、マストバイです。


◎『Hotwax』vol.2,ウルトラ・ヴァイヴISBN:4401751019


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[追記]
 映画では『仁義の墓場』に、『さそり』の続編。テレビでは『森村誠一』シリーズ。同じ感度の作品群でつながってるように感じるのが多岐川裕美だったりします。あくまでも個人的な体験によるものですが(そして、梶芽衣子と多岐川裕美の共演作が『鬼平犯科帳』シリーズ。これもCSで追うべきなのか)。