メディアが伝えているもの

 本日発売の『週刊現代』(2005年4月16日号)に、書籍関係で読みどころがいくつか。まず、著者インタビューから二つ挙げます。


◎『半島を出よ村上龍(著),幻冬社ISBN:434400759XISBN:4344007603


 “日本が北朝鮮「反乱軍」に攻め込まれる日”と題した村上龍特別インタビューの小タイトルを順に拾ってみると、“問題作『半島を出よ』で多数の脱北者にも取材”“拉致問題にみる日本外交の弱さ”“呑気でナイーブな日本政府”“日本社会は「二極化」する”──と著者の思考のアウトラインがわかる。最後の「二極化」とは、「国民が一丸となっていたころのパラダイムのまま情報を伝えている」メディアに対する警鐘として語ったもの。こう表現してます。

 政府がフェアじゃないのは、これからはっきりした格差を伴う社会になるというのに、それを具体的に言わない。(中略)金次第で、露骨な差が生まれるようになります。て言うか、もうすでにそうなりつつあります。それを伝えるのがメディアの仕事でしょう。(P.57)


◎『在日 ふたつの「祖国」への思い姜尚中(著),講談社ISBN:4062723069


 こちらは現代ライブラリーのトップ<インタビュー 書いたのは私です>から。タイトルは“日本と朝鮮半島の間に刻まれた歴史の重みを今見据える意味”で、著者は東北アジアの平和のためには「朝鮮半島の南北統一が必須」とし、その構想を最終章に示したという。

 未だに戦争状態にある米朝間、中国、ロシア、韓国という周辺国も含めて極度な緊張関係にある現状で日本がどう動くか。大切なのは個々の政治家の手腕云々ではなく、世論の一つひとつを形成している人々がどういう意識で、どんな感情を抱えているかを的確に捉えることだと思います。(P.133)


◎『メディア裏支配―語られざる巨大マスコミの暗闘史田中良紹(著),講談社ISBN:4062128349


 これも現代ライブラリーから。レビュアーは高野孟さんで、タイトルは“驚嘆のエピソードを満載して「テレビの危機」に警鐘を乱打”。「視聴率至上主義」の問題や、「過去のメディアをめぐる政財界癒着構造を清算できないままテレビの衛星化、デジタル化、多チャンネル化の時代を迎えてしまったことによる悲劇」などを詳細に描いた好著と評している。「今話題のホリエモンフジサンケイグループはじめ既存メディアに対して何を仕掛けようとしているのか、イメージできるはずだ」(P.136)とも。

 最後。自社宣伝と言える枠だけども、講談社サイトと連動する<MouRa いち押しクリック!>に、サイトからの単行本化の紹介がある。「世界最強の人気を誇る日本のキャラクターエンターテインメント。2兆円市場といわれるライセンス市場を築くに至った、その魅力の根源にある現象“萌え”を追求した「MouRa」の巨弾ノンフィクション」(P.132)──って、随分大きく出たな。


◎『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造堀田純司(著),講談社ISBN:4063646351


 内容の信憑性に不安を感じさせるような書名ではありますが…。このサイトからは、「あなたとわたしのGAINAX」も単行本化が発表されていて、これは読みごたえがあるのではないかと思ってます。