キーワードは「ハードドライブ」。だそうです

 「ナノマシンが出てくる、たぶん世界で初めての実写映画」──。
 『BRUTUS(ブルータス)』573号(2005年6月15日発売)からです(筆者は翻訳家の酒井昭伸さん)。しかし、“ナノマシンとは、分子サイズの微小な機械のことである。〜気鋭の翻訳家が語る、最新映画『1.0【ワン・ポイント・オー】のこと、ナノマシンのこと』”という、このキャッチだが、随分とストレートだな…。

 アグレッシブな映像、独特のレトロな建物に小道具、ディック的な非現実感など、カルト的要素満載。クローネンバーグ風でもあり、押井守風でもある。(P.167)

 うーん、それってホントに「先鋭的」なのか。いずれにせよ、これまで実写映画が扱ってこなかった、という点は興味深い。では、小説、コミック、アニメにはどんな作品があったのか。それがこのレビューで紹介されています。以下、年代順(コミックは第1巻)に整理し直してメモっときましょう。

 さて、である。“ナノテク・ブーム”を少し追ってみると──

  • 2000 クリントン米国大統領(当時):「NNI構想」(国家ナノテク構想)表明
  • 2001 経団連:意見書「ナノテクが創る未来社会 <n-Plan21>」発表
  • 2001 創造する機械―ナノテクノロジー:邦版2刷
  • 2003 SFマガジン:『プレイ―獲物―』&ナノテクSF特集
  • 2004 日経ナノビジネス:創刊

 と、明らかに21世紀に入ってからの現象だ。しかし、酒井さんによるリストから分かるのは、日本における創作レベルでは1998年前後にピークを迎えていたらしい、ということ(コミックが第1巻からこの題材を扱っていたかどうかまでは調べきれていないのだが)。何か引き金があったのかは目下は分からずだが、『SFマガジン』1996年7月号で“ナノテクSF競作”が挙行されているので、着々と準備はされていたのだろう。
 そして、何よりも『銃夢』が先を行っていた、ということか。

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