キーワードは「ハードドライブ」。だそうです
「ナノマシンが出てくる、たぶん世界で初めての実写映画」──。
『BRUTUS(ブルータス)』573号(2005年6月15日発売)
アグレッシブな映像、独特のレトロな建物に小道具、ディック的な非現実感など、カルト的要素満載。クローネンバーグ風でもあり、押井守風でもある。(P.167)
うーん、それってホントに「先鋭的」なのか。いずれにせよ、これまで実写映画が扱ってこなかった、という点は興味深い。では、小説、コミック、アニメにはどんな作品があったのか。それがこのレビューで紹介されています。以下、年代順(コミックは第1巻)に整理し直してメモっときましょう。
- 1985 『ブラッド・ミュージック』グレッグ・ベア(著),ハヤカワ文庫SF
- 1986 『創造する機械―ナノテクノロジー』K・エリック・ドレクスラー(著),パーソナルメディア
- 1991 『銃夢』木城ゆきと(著),ヤングジャンプコミックス
- 1993 『無限アセンブラ』ケヴィン・J・アンダースン&ダグ・ビースン(著),ハヤカワ文庫SF
- 1994 『グラマラス・ゴシップ』華不魅(著),ウィングス・コミックス
- 1995 『極微機械 ボーア・メイカー』リンダ・ナガタ(著),ハヤカワ文庫SF
- 1997 『レフトハンド』中井拓志(著),角川ホラー文庫
- 1997 『ARMS』皆川亮二&七月鏡一(著),少年サンデーコミックススペシャル
- 1998 『BLAME!』弐瓶勉(著),アフタヌーンKC
- 1998 『EDEN 1―It's an Endless World』遠藤浩輝(著),アフタヌーンKC
- 1998 『砲神エグザクソン』園田健一(著),アフタヌーンKC
- 1999 『ナノハザード』半田克己(著)メディアワークス電撃文庫
- 2000 『破壊魔定光』中平正彦(著),ヤングジャンプコミックス
- 2000 『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』監督:モンキー・パンチ
- 2002 『プレイ―獲物―』マイクル・クライトン(著),ハヤカワ・ノヴェルズ
- 2004 『救命戦士ナノセイバー』総監督:古川政美
さて、である。“ナノテク・ブーム”を少し追ってみると──
- 2000 クリントン米国大統領(当時):「NNI構想」(国家ナノテク構想)表明
- 2001 経団連:意見書「ナノテクが創る未来社会 <n-Plan21>」発表
- 2001 創造する機械―ナノテクノロジー:邦版2刷
- 2003 SFマガジン:『プレイ―獲物―』&ナノテクSF特集
- 2004 日経ナノビジネス:創刊
と、明らかに21世紀に入ってからの現象だ。しかし、酒井さんによるリストから分かるのは、日本における創作レベルでは1998年前後にピークを迎えていたらしい、ということ(コミックが第1巻からこの題材を扱っていたかどうかまでは調べきれていないのだが)。何か引き金があったのかは目下は分からずだが、『SFマガジン』1996年7月号で“ナノテクSF競作”が挙行されているので、着々と準備はされていたのだろう。
そして、何よりも『銃夢』が先を行っていた、ということか。
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