なるほどフランケンシュタインと来たか。

(やっと忙しさから解放された。7月に遡ったことも含め、順次、メモっていきます)

◎『亡国のイージス』監督:阪本順治(日本・2005年)
 監督の人選は適任。演出に文句はない。カギはやはり編集(ウィリアム・アンダーソン)だろう。この淀みの少なさが、正解なのか否か。劇場パンフの監督・原作者対談にも、ここに“疑問符”を打つような発言がある(監督は、ポジティブに受け止めているが)。もっとバランスを欠いているほうが、監督の持ち味が出たに違いない。しかし、娯楽大作でバランスの悪さを狙うことが、推奨されてよいはずもない。ディレクターズ・カットを観たい気もするが、それじゃ潔くないか…。それから「浪花節」。これについては、私と監督の解釈とには開きがあるのかもしれないが、私は「泣き」の要素をもう少し期待していた(なにしろ「泣ける」原作なのだから)。あとひと押し「オリン」をこすってほしかった。といった点から、満足度では若干だが、『ローレライ』のほうに軍配を上げる。
(2005/08/02,AMCイクスピアリ


◎『仁義なき戦い 広島死闘篇』監督:深作欣二(日本・1973年)
 衝動買いで、『亡国〜』後に鑑賞。複数の主役格の間を場面が渡り歩き、「あの人が出てこないな」と思い出す頃、そちらにバトンタッチする(おそらくは苦肉の策でもある)絶妙な展開。当時はヤクザ映画のアクションとして観ていたが、思った以上に時代劇タッチではないのか。技術面では、16mmで撮って増感したという終盤のナイトシーンが鮮烈。梶芽衣子が強い印象を残す映画です。
(2005/08/02,DVD,再見)


◎『スター・ウォーズ エピソードIII/シスの復讐』監督:ジョージ・ルーカス(米国・2005年)
 平伏します。IやIIに感じた物足りなさからすれば、見違えるように気合いが入っている。アクションの見せ方──ショットと編集が実に的確で、デジタル技術の面でも粗がさらに減っているので、没入を妨げるようなところがない。チャンバラも今回はOK。ヘイデン・クリステンセンが、いかに適役だったかもわかる。私のようにニュートラルに付き合ってきた観客でも、深い感慨を禁じえない。
(2005/08/03,AMCイクスピアリ