あと何年かで「新聞」という言葉は共有できなくなるのでは…。


 TBSがリリースを続ける“臨死・冥界系ラブストーリー”の正統的な一作(今回はホラー編。来年には真打ちとしてパニック編『日本沈没』が控える)。作品の意図が分からないという意見もあるようだが、要するに宗教的な浄化作用を得るための代替物の一つだと言える(家族愛を描いたものだとは、私は思わなかった)。
 人生に地獄(それは日常的なごく些細な“地獄”でもあるかもしれない)を感じている人間が、誰の上にも平等に降り注ぐ“死”を受け入れるための(心の)準備を整える。そうやって、日々の苦痛を(いくらかでも)緩和するために享受する擬似“冥府巡り”がこうした映画なのだと心得たい(現代のエンタテインメント映画が最も力を発揮する場面)。
 だから、出来のよしあしは、その効能で判断したいところ。


 脚本も演出もかなり行き届いたものだと思うのだが、うまく整理されているがゆえの迫力不足を感じた。破綻を感じさせる併映作『感染』(当BLOG感想はここ)に個人的には軍配を上げたい。
 三上博史酒井法子Photoshopで加工すれば、つのだじろうの画に近い顔ができ上がりそうだ。通信手段がメールや携帯だと合わないかもしれないが、(恐怖)新聞とこの二人は好マッチ。


◎『予言』監督:鶴田法男(2004年・日本)


(以下・ネタばれがあります。鑑賞後にどうぞ)


 全編の4分の3まではホラーの体裁ではあるが、残り4分の1のたたみ込み(タイムパラドックスによる混乱)に至って、「(妄想がらみの)予知能力+タイムワープ」を扱ったサイコキネシスSFとして観ることができるものだとわかる。
 ただ、娘NG、妻NG、そこで自己犠牲で終わる、という展開がある程度読めてしまう。ラストは“無間地獄”の振り出しに戻ったというふうに私は解釈したが、どうも中途半端な感触が残る。代替案を思いつけるわけではないのだが…。

(2005/10/10, DVDレンタル)