『ローレライ』3年前の“もしも”

　最初に入った神保町の大型書店（その筋のフロア）では、どうやら未入荷。複数の客から「ないのか？」と訊かれたらしく、奥では受話器を手にした女性店員の声が。「今日か明日には搬入されるはずなんですけど…、10じゃ足りないと思います」。“もっと寄こせ”モードで上申の最中だった。あなたの勘は、きっと正しい。

◎『映画「ローレライ」画コンテ集』樋口真嗣（著）,講談社（ISBN:4063646378）

　結局、少し離れたその筋の専門系書店で購入。その時点で、架台の残部は1（裏に在庫があるのかもしれぬが）。手にしてページをめくってみたら、やっぱり買っちゃうでしょう、これ。
　嬉しいのは、樋口監督による撮影用コンテ、庵野秀明氏による戦闘シーン・コンテはもちろん、劇団☆新感線の座付作家、中島かずき氏による検討稿をもとに2002年に描かれたという初期コンテ（監督のコメント付き）がたっぷりと収められてること。
　存在したかもしれない“もう一本の『ローレライ』”を脳内生産するための素材が、提供されたわけだ。
　さらに、キャラクター・舞台・小道具の設定ラフやスケッチ、（撮影現場でのリハーサル後に描いた）追加コンテ、未使用コンテなどのオマケも充実で2980円。“買い”の逸品だと思います。

映画「ローレライ」画コンテ集