教育者としてのクロサワ


 昨日に続き『Invitation』2005年6月号から。<カルチャー立国、ニッポン 成功させるための43の条件>“chapter 21 映画づくりのプロフェッショナルを育成したいんです”とのキャッチ。東京芸術大学大学院教授に就任した黒沢清監督に対するインタビューです。その講義では、「戦時下の日常生活」を映画制作の課題にしたり、「戦争と映画」について語ったりしてるのだそうです。

 それを描くのが映画の唯一の使命だと考えているわけではありませんが、大きなものにぶち当たってほしいなと僕は考えています。つまり、社会というフィルターを通して、世界も自分も“見ざるをえない”状況。そういう経験をまずはしてもらいたい。ハードですけど。僕自身の心境の変化が大きいんですが……それは、始まってみたら21世紀ってつまらなかったってこと。つまらなくした責任のほんの少しは自分にあるのかという気もするし。ほっといても面白くなるんじゃないかと考えていたのが迂闊だった。それをなんとかしたい、という思いが僕の中にあります。(P.052)