解体と再統合…“広げたふろしきは閉じるべきだ”(押井守)

 昨日の調べもののついでに、『すべての映画はアニメになる[押井守発言集]』(ISBN:4198618283)<【対談】河森正治>の中での押井監督の発言から。対談のテーマは『天使のたまご』なんですが、その後の観客との質疑応答で『うる星やつら4』に対する感想を訊かれ、答えた中の一部。初出は1986年の『アニメージュ』(別冊ふろく)です。

押井 自分にとっては、すでに終わってしまった作品ですからねぇ。
 ただ“夢”を扱うという点では興味がありましたね。僕は“夢”を扱う場合、たえずひとつの論理的可能性というものを考えているんです。
 “夢”の中の因果律は、実は論理的なものじゃない。因果の糸を結ばないものだから、夢なんですよね。だから、夢を物語の中で扱う時は、現実とは別の論理が必要なんです。その結果、夢を描くことで、この現実の論理のあり所が明らかになる。つまり、夢というのは、単純にいえば現実の比喩なんですよね。そういう構造を物語の中でもたない限り、夢の物語は成功しないだろう。夢そのものの構造に捕らえられて、物語が閉じられなくなると思っているわけです。(P.111)