小学生の時に手にした『床屋医者パレ』を思い出した


◎『大統領の理髪師』監督:イム・チャンサン(2004年・韓国)


 まず志を買う。楽しめた。ただコメディとサスペンスを描く際の緩急や、日常の機微と時代の暗黒を反転させる際の鮮やかさが、あと少し欲しいように思った。例えば、主人公(ソン・ガンホ)をリクルートし、時に銃を向ける警護室長のキャラ描写などは、やや中途半端な感じ。それと、“反復”による語りを、もっと上手く使う余地があったのではないか。主人公が初めて大統領の髭をあたる場面が極めて印象的だっただけに、息子が囚われた後に再度剃刀を使う描写を入れれば、また異なる緊張が生まれて効果的だったのでは。ラストの自転車の場面なども、イメージとしての伏線があればもっと感動的だったはず(予告編では、赤ん坊時代のよちよち歩きのカットと解放後立てなくなってしまったことがわかるシーンをモンタージュしていたが)。あと勝手なことを言えば、ムン・ソリの出番をもっと。


[独断評…総合 7.5/10.0]
●設定 2.0/2.0
●物語 1.5/2.0
●俳優 1.5/2.0
●演出 1.5/2.0
●技術 1.0/2.0


(2005/09/11,DVDレンタル)