デジタル・ヒッチコキアンと「秘密の庭」


 よしあしは別にして気になるクリエイターの一人。監督作(兼脚本)『トリガー・エフェクト』(1996)を観ようと思っていながら観逃がし、なぜかこの9月にやっと公開された『エコーズ』(1999)も観逃がしてしまっている。スティーブン・スピルバーグ(『ジュラシック・パーク』『宇宙戦争』)やブライアン・デ・パルマ(『カリートの道』『ミッション・インポッシブル』)が「らしさ」と「勢い」を取り戻すときに、この人の名前が出てくるような気がする。
 履歴を眺めるとわかるが、ひねったストーリーで勝負してきた人ではないと思う(ひねろうとして、やや滑ったものはあるようだが)。でも、観客の感情を翻弄することにとても長けた脚本家であることは間違いない(カーティス・ハンソン監督が初期に撮った1999年の『バッド・インフルエンス 悪影響』。演出のおかげもあるだろうが、目の前に座っていたアメリカ人と思われる女性が、ある場面で“Oh, No!”と叫んでいたのを思い出す)。
 最新の監督作(兼脚本)『シークレット・ウインドウ』もストーリーの「意外性」を期待するのは、おそらく間違い。○○と思わせておいて、実は○○ではなかった、という展開になるのかと思ったが、そのまま○○でした。まあいいじゃない。ひねりを求めすぎるのも、どうかと。ジョニー・デップ(とジョン・タートゥーロ)の演技を楽しむのが得策です。いくつかBLOGを探ると、そうやって納得した人が非常に多いようだとわかったのでした。
 あと映像特典のアニマティクス(動画コンテ=3DCGによる場面シミュレーション)は笑える。ラストも、ここまで描こうとしてたのか、という“衝撃”のビジュアルに…。


◎『シークレット・ウインドウ』監督:デヴィッド・コープ(2004年・米国)


(以下・ネタばれがあります。鑑賞後にどうぞ)


 『ファイト・クラブ』とか『ホワット・ライズ・ビニース』とか色々あるのだろうが、やはり『サイコ』か。ほほえましいほどオマージュしてる。窓から室内にトラックアップ、階段の上に回りこむ、といったカメラワーク。モーテルで暴れ、バスルームで暴れ…。二重人格を含め、嬉々としてデジタル技術(VFX)を使って表現してる感がある(やってること自体は珍しくないが)。オーディオコメンタリーを聴いてみるか。


 以下IMDb David Koepp (Writer - filmography)から。

  • Zathura (2005)(screenplay)
  • War of the Worlds (2005) (screenplay)
  • Secret Window (2004) (screenplay)
  • Hack (2002) TV Series (creator)
  • Hack (2002) (TV)
  • Spider-Man (2002) (screenplay)
  • Panic Room (2002) (written by)
  • Stir of Echoes (1999) (screenplay)
  • Snake Eyes (1998) (screenplay) (story)
  • The Lost World: Jurassic Park (1997) (screenplay)
  • The Trigger Effect (1996) (written by)
  • Mission: Impossible (1996) (screenplay) (story)
  • The Shadow (1994) (written by)
  • The Paper (1994) (written by)
  • Suspicious (1994)
  • Carlito's Way (1993) (screenplay)
  • Jurassic Park (1993) (screenplay)
  • Death Becomes Her (1992) (written by)
  • Toy Soldiers (1991) (screenplay)
  • Bad Influence (1990) (written by)
  • Apartment Zero (1988) (screenplay)