“左脳を黙らせろ”…ん、“全脳開発”?


 まさに盛り上がっているところのようですね、マインドマップ。明日(2日)、創始者のトニー・ブザン氏(自己啓発分野のカリスマ)の講演会があるそうで、4日には著書『ザ・マインドマップ〜脳の力を強化する思考技術〜』がダイヤモンド社から発売される。


ザ・マインドマップ

ザ・マインドマップ

 このニューロンシナプス状の筆記方式を最初に見たのが、いつかは思い出せない(たぶんビジネス系ではない雑誌か書籍)。全世界で2億5000万人が学んだ技法(思考ツール)だというが、「12のルール」なるものがあって、公認マスタートレーナーなる方が居る家元制度のようなものであることは知らなかった*1


 途中まで眺めて放り出してあった映画シナリオ教本『書きたい! 書けない! なぜだろう?』を改めて手に取ったら、第8章“マインドマッピングの奇跡”(P.111)で、この技法の利用を勧めていることを知った*2。それが先週末のことで、調べてみるとPCツール化されていることなどもわかったのだった。


 単なるテキスト情報の整理に使っている人もいるようだが、「12のルール」の中には

  • テーマはイメージで描く …枠はなし、縦横3〜5cm、3色以上で
  • ワードは単語で書く …フレーズや文章で書かない、助詞をつけない
  • 強調する …シンボルイメージを描く、カラフルに描く、3Dで描く
  • 創造的に …ユーモラスなイメージを使う

 といったものがあったりして、本流の記述例などを見たところでは、思っていた以上にイメージドローイングに近いものだとわかる。


 なので、『書きたい! 書けない! なぜだろう?』に記されているのは筆者流の指南だと思われるのだが、こちらでとにかく強調されているのは「右脳の活性化」という観点だ。5〜7分間程度でよいのでエネルギーを集中し、無心にアイデアを放出することを求めている。


 その5〜7分間の没入のための準備としては、まずはストーリーやシーンのイメージを心の中に描き、ストーリーの核(全体像)となる「中心イメージ」を見つけることが必要になる。「主人公が理想を実現し目的を達成した後、ストーリーの終わりのイメージが観客に、何がどう伝わるのか」を思い描いた上でマッピングを始めるようにと説いている。
 この中心イメージというのは、「映画のポスターのように、説明抜きでストーリーの本質を視覚的に表現するもの」とも。このあたりは、本家の「テーマはイメージで描く」に共通する点とも言えそうだ。


 筆者が示すマッピングの基本原則は単純で

  • 止まって考えず、できるだけ素速く書く
  • できるだけたくさんの色を使う
  • 言葉の代わりに、できるだけたくさんの絵や記号を描く

 といった三点を掲げ、「自分が生み出したアイデアを検閲したい誘惑を抑え、「考える」ことすらやめるようにしよう」と言っている。


書きたい!書けない!なぜだろう? (夢を語る技術シリーズ)

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  • 作者: マリサデュバリ,岡田勲,Marisa D'Vari,別所里織
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 などといったポイントをたどっていくと、PCツールは、マッピングにはあまり向いていないものかなとも思えてくる。とりあえず私は、「FreeMind」を触ってみているが、ツールとしてとても好みの類ではある。特に「雲」の描線がいい感じ。

*1:『ザ・マインドマップ〜脳の力を強化する思考技術〜』は、トニー・ブザン氏が公認した現時点でたった一つのマインドマップ本。だそうです。“※本書以外で、マインドマップという言葉を使っている本は、重大な著作権侵害の疑いがあります。”との注意書きも…。

*2:開発側も、「小説やシナリオなどの創作」を利用目的の一つに掲げている。