もはや私は「ライトユーザー」失格なのか。


!! “記憶リセット映画”強化月間


私の頭の中の消しゴム ナビゲートDVD ~君が僕を忘れても~

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 劇場パンフから一箇所、監督(1971年生まれ)の声を拾っておく。

 この映画が、韓国で公開されたとき、新しい形のメロドラマだという評価を受けましたが、それはまさに、私が望んでいたものなのです。私は、撮影前に、ミーティングでスタッフたちに、我々はこれから、メロドラマを撮るのではなく、ある種のアクション映画を撮るのだと話をしたことがあります。『アルマゲドン』(98)や『バッドボーイズ』(95)(ともに、マイケル・ベイ監督)だけが、アクション映画じゃないと私は思っているんです。

 活劇としてつくられた純愛映画──。それはOK(ただ、アプローチとして新しいわけではない。純愛を描こうと悲恋を描こうと優れた映画は「活劇性」を持つはずなので)。が…。


◎『私の頭の中の消しゴム』監督:イ・ジェハン(2004年・韓国)


 私が「韓国映画」に求めているものは、ここにはなかった。いや「映画」に求めているものが、ほとんどなかった。しかし、正統派の「韓流」(韓国テレビドラマ)ファンからすれば、これこそ求めていたものなのかもしれない(…あるいは韓流には関心があったが、何かが足りないと思っていた若い層を巻き込んだ結果と見た方がいいのか)。“泣ける映画”として大ヒットしているという事実が、私にはカルチャーショックだ(号泣に至った人も多いようだ)。自分の(映画に対する)感覚は、世の中の大勢とはずれてしまっているのか。


 チョン・ウソンソン・イェジンという主役のキャスティング、若年性アルツハイマーという題材は良い。気になったのは、あえて集約すると、こんなところだ。

  • 映像の連鎖が雰囲気に流されてしまっている(もっと緊密に組み立てることができるのでは?)
  • 病身の人間と正面から向き合う場面が少ない(介護の日々を真摯に描けば感動が高まるのでは?)
  • コンビニとコーラがメモリアルのカギとは…(山場となる舞台の画面があれじゃ“寒い”のでは?)


 温かろうが浅かろうが、プロモビデオのようであろうが、それじゃ「映画ではない」などと言う気はない。そのような映画に好きなものもたくさんある。しかし、自分の中に現れた拒否反応と、世の中における受容の度合いに、これほどの差が出たことはあまりなかったように記憶する。こういう時にこそ、ブログは有難い。これからファンの声を、巡ってみることにするか…。

(2005/11/04, 錦糸町シネマ8楽天地)