デジタル俳優の行動原理は脳内麻薬から?


 だいぶ前から知られてるツールのようですが、私は『キネマ旬報』2005年5月下旬号の特集「キングダム・オブ・ヘブン<映像技術評>“歴史大作映画と映像技術の進化”」(筆者は大口孝之さん)を読んで知りました。『トロイ』では、十万人の大軍勢を表現するのに使ってるとのこと。『トロイ』を手がけたVFXプロダクションの英ザ・ムービング・ピクチャー社がやはり参画してる『キングダム・オブ・ヘブン』の大軍勢は、(はっきりとはわからないのですが)エンドルフィンによるものじゃないようです。

 『トロイ』ではナチュラルモーションの開発技術を採用し、一流のビジュアル・エフェクト・カンパニーであるムービング・ピクチャー・カンパニーとフレーム・ストア CFCが提供した“バーチャル・スタントメン”というシステムを初導。オックスフォード大学動物学部の指揮の下、ヒトの動きをつかさどる神経生物学の研究から開発された“エンドルフィン”と呼ばれるソフトウェアを使用しているのだ。この精巧なプログラムは何かの刺激が加えられたときの本物の人間と、全く同じ生体反応をするキャラクターを作り出すことができる。


 一旦、プログラムされたキャラクターは、自分自身で反応をするようになり、計り知れないほどの種類の動作をリアルに行うことができるようになる。例えば、『トロイ』の兵士が敵の攻撃を防御したり、バランスを維持したり、倒れるのを防ぐといった自衛本能は、この神経ネットワークを応用した結果可能になったのだ。この革新的な技術によって、前代未聞の規模と緻密さが融合した巨大規模の戦いが実現したのである。
『トロイ』公式SITE“プロダクション・ノート”から)


 群集ソフトなのかと思ったらそうじゃなく、デジタルアクターを効率的に生み出すためのツールのようですね。NaturalMotion社のSITEなどを見ると、ナムコの『鉄拳5』などにも利用されてることがわかります。

 ナチュラルモーションは最新版エンドルフィンをご紹介いたします。このエンドルフィンは次世代ゲームに不可欠な、高品質の3Dアニメーション生み出すダイナミック・モーション・シンセシス・ソフトウェアです。エンドルフィンは、他の技術よりも短時間でアニメーションを作り出せるように、最先端の人工知能バイオメカニクスを使っています。
『東京ゲームショウ2004』ブース内容一覧から)

NaturalMotion Announces endorphin Rush Program
By Harold Lime
Apr 11, 2005, 13:31

NaturalMotion Ltd., the British developer of Dynamic Motion Synthesis technology, announced endorphin Rush, a new monthly licensing program for its popular endorphin software. Designed specifically for smaller facilities, freelancers or specific projects, the Rush program lets users rent endorphin 2.0 for only $1,595 per month, including full support.

endorphin uses NaturalMotion’s Dynamic Motion Synthesis technology to create 3D character animation in real-time. Announced customers include The Mill (for a Europe-wide Pepsi ad campaign), Sony Computer Entertainment Europe (The Getaway: Black Monday), Namco (Tekken 5), Moving Picture Company (Troy) and many others.

endorphin 2.0 Rush is available with immediate effect from NaturalMotion and its appointed resellers at $1,595 USMSRP. A full commercial license of endorphin 2.0 retails at $12,795 USMSRP.
("VFXPro - The Daily Visual Effects Resource"から)


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