“団塊リタイア層”のアイドル…


 やはり“微笑貴公子”の牙城を崩したのは、ヨンエ姫(じゃなくて女官)であったか。そして、やはり白夜書房であったか。
 『別冊コリア・ムービー(KoreaMovie)①』(白夜ムック220)が、“特集!「宮廷女官チャングムの誓い」とイ・ヨンエの世界”と題し、この分野の雑誌(ムック)では貴重な女優特集を組んでいる。グラビア映えするという評価軸だけならほかにも人材は居ると思うが、女優として安定した力のある(かつ作品に恵まれている)このひと、イ・ヨンエ(Lee Young-ae)が、やはりメインでフィーチャーされたのであった。

 『SCREEN』誌にこれまで掲載されたイ・ヨンエの写真をすべてリサーチし、グラビア編、細かい記事のアザー編、ドラマ編、『宮廷女官 チャングムの誓い』編と4部構成にし、時代順に並べました。『宮廷女官 チャングムの誓い』でイ・ヨンエに興味を持った人がさらに彼女のことを好きになれるよううに、そんな願いを込めて編集しました。80ページに近い大特集をご堪能ください。(P.5)

 といった趣向で、第一特集では映画『JSA』『ラスト・プレゼント』『春の日は過ぎゆく』『親切なクムジャさん』や代表作ドラマに関する記事(もちろん、グラビアも)をまとめ、第二特集では脇役まで含めて『チャングム』を幅広く取り上げている。


別冊Korea Movie 1 (白夜ムック220)

別冊Korea Movie 1 (白夜ムック220)


 続いて。“韓流いい女2005”と題して8人を紹介。これは納得の人選だ。

  1. ハ・ジウォン(Ha Ji Won)
  2. ソン・イェジン(Son Ye Jin)
  3. ソン・ヒョナ(Sung Hyen Ah) …このひとはノーマークだった
  4. イム・スジョン(Lim Soo Jung)
  5. チョン・ドヨン(Jeon Do Youn)
  6. ユン・ソイ(Yun Soy) …このひともノーマークだった
  7. カン・ヘジョン(Kang Hye-Jeong)
  8. シム・ウナ(Shim Eunha)

 さらに。編集長自らが“妄想テキスト”と自認した上で、“本誌はズバリ断言! 2006年は女優の年になる! まだいる「韓流いい女」、ブレイク寸前!”と題して、8人を追加で紹介。こちらは新旧混在していて、やや混乱ぎみだが。

  1. キム・サムスン(Kim Sam-soon)
  2. ハン・ガイン(Han Ga-In)
  3. パク・ソルミ(Park Sol-Mi)
  4. ヨム・ジョンア(Yum Jung-Ah)
  5. イ・ナヨン(Lee Na-Young)
  6. ムン・グニョン(Moon Geun-Young)
  7. キム・ヒソン(Kim Hee-Sun)
  8. チョン・ジヒョン(Jun Ji-hyun)

 で。“妄想テキスト”の中身なのだが、「2004年と200年、吹き荒れた『韓流』という狂騒は静かに幕を引こうとしている」。との寂しい一文で始まる(それは、そうなのだが)。そうしたなか、新たに生まれそうなムーブメントを視野に入れたのがこのムック、ということらしい。「映画マニア、若者、オバサマと来て、2006年はズバリ、定年を迎えて暇になったオジサマたちがターゲットとなった、女優の年になると予言したい」(P.110)──。うーん。無理があると思うけど、この路線のムックは歓迎しますので。